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Fiber Weave Effect

ファイバーウィーブスキューの緩和策:スプレッドガラス、NEガラス、配線手法

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October 20, 2026

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この記事は、Quilterの物理法則に基づくレイアウト自動化を使い、NXP i.MX 8M Mini搭載コンピューターを再現した過程を詳しく紹介するシリーズの一部です。 

査読:Bill Hargin、Z-Zero, LLC

要点

ファイバーウィーブスキューは、積層材、配線、またはその両方によって低減できます。材料面の選択肢は、より密なガラス織布スタイル、機械的に開繊したスプレッドガラス、NEガラスなどの低誘電率(Low-Dk)ガラス、そしてガラスクロスを2プライ以上重ねる構成です。配線面の選択肢は、差動ペアのピッチをガラス束のピッチに合わせること、斜め配線、ジグザグ配線、銅パターンを積層材に対して回転させること、そしてジョグ配線です。これらの手法の多くは部分的な解決策にすぎず、その効果は周波数、線路長、許容できるスキューの予算に左右されるため、設計者は複数を組み合わせることがよくあります。112G PAM4やPCIe Gen6のように56 Gb/sを超えるデータレートでは、NEガラスとスプレッドガラスの組み合わせが不可欠となり、厳しいスキュー制限を満たすには斜め配線も必要になる場合があります。

  • スキューはビット周期の半分を食いつぶしうる。3 ps/インチのスキューレートでは、長さ15〜20インチの差動ペアは45〜60 psのスキューを伴って到着します。これは10 Gbps信号のユニットインターバル100 psのおよそ半分にあたります。
  • ガラススタイルの指定だけではスキューを制御できない。機械的開繊を規定する業界標準はないため、同じスプレッドスタイルでも積層材メーカーが違えば、14インチの配線で生じるスキューが4 psにとどまることもあれば、62 psに達することもあります。スタイルだけでなく、積層材メーカーも指定または監査してください。
  • 織布の選択はデータレートとビアの種類で決まる。2116のような密な織布は安価で、レーザーマイクロビアを使わない短い配線であれば一般に10 Gbpsまでは安全です。10 Gbpsを超える場合や、レーザー穴あけマイクロビアを用いるHDIの層構成では、1067や3313のようなスプレッドガラスが適しています。
  • NEガラスはガラスと樹脂の誘電率差を縮める。低誘電率ガラスは、ガラスフィラメントの誘電率を約6.6から4.4に下げ、樹脂の値に近づけます。コストが高く、在庫している基板製造業者は少なく、スプレッドガラスと組み合わせたときに最も効果を発揮します。
  • 配線手法にはそれぞれ代償がある。ピッチ整合では配線間隔をガラス束ピッチの整数倍に設定しますが、位置合わせのずれや非正方形の織布に弱いという欠点があります。7〜10度の斜め配線は各配線が受ける誘電率を平均化しますが、基板面積を消費し、挿入損失のディップを生じることがあります。ジグザグ配線はICを標準的な軸に沿って配置したままにできますが、折り返し点と配線長が増えます。

前回までの記事でファイバーウィーブ効果とそのモデル化手法を紹介してきました。最終回となる本稿では、実践的な緩和策に目を向けます。スキューの大きさを実感するために、商用製品でよく見られる長さ15〜20インチの差動ペアを考えてみましょう。3 ps/インチのスキューレートでは、正負の信号は45〜60 psずれて受信側に到着します。1ユニットインターバル(UI)が100 psである標準的な10 Gbps信号では、このスキューがビット周期のおよそ半分を消費し、タイミングマージンを圧迫してビットエラーを引き起こします。データレートが高くなるとユニットインターバルはさらに短くなるため、状況はいっそう悪化します。スキューの緩和策は、材料面の解決策と基板レベルの配線という2つの大きなカテゴリーに分けられます。まずは前者、具体的にはガラス織布の織りスタイルから見ていきます。

ガラス織布スタイルの役割

ファイバーウィーブスキュー(FWS)に対処するうえで最も簡単な材料面の解決策は、より密なガラス織布スタイルを使うことです。ガラスクロスは、直交する2本の軸に沿って走る糸束が互いに組み合わさった格子でできています。糸束がぴんと張られている方向を経糸方向(ワープ、グレインとも呼ぶ)、それと交差する糸束が織り込まれる方向を緯糸方向(ウェフト、フィルとも呼ぶ)といいます。

織られたガラス繊維を描いた2つの図。縦の経糸の上下を交互に通る緯糸と、経糸方向と緯糸方向が表示された織布。
図1:ガラス織布マトリクス内の経糸方向と緯糸方向(出典:Nalla 2016)。

糸の太さ、打ち込み本数、布の重量は織布ごとに異なるため、IPC-4412は組み合わせごとに106、1080、2116のようなスタイル番号を割り当てています。図2はこうした織りスタイルの一部を示しています。

106、1080、2113、2116のガラス織布スタイルの顕微鏡写真。糸束の幅や、糸束間の樹脂で満たされた開口部の大きさがそれぞれ異なる。
図2:一般的な積層材スタイルのガラス織布の織りパターン(出典:Intel 2011)。

糸束どうしの物理的な隙間は、選んだスタイルによって大きく異なります。より密なガラススタイルを選べば、伝送線路に沿った誘電体の変化をなだらかにし、局所的な誘電率(Dk)のばらつきを、ひいてはスキューを小さくできます。

ガラスクロスの機械的開繊

従来のガラス織布(106や1080など)では、繊維束が密に集まり、その間を大きな樹脂だまりが隔てています。こうした隙間を小さくしてペア内スキューを抑えるため、積層材メーカーは樹脂含浸の前に、高圧ウォータージェット、超音波、または機械ローラーで糸束を機械的に押し広げます。

大きな樹脂窓のある標準ガラスと、糸束がより平らで幅広い機械的開繊ガラスの顕微鏡写真。その下に、丸い糸束と圧力で平らにされた糸束の模式図。
図3:丸い糸の標準ガラス(左)と、糸が比較的平らになった機械的開繊ガラス(右)(出典:Hargin 2019b)。

スプレッドガラスはスキューを減らすだけでなく、組成が均一で、穴あけのむらやめっき不良の原因となる樹脂だまりが少ないため、よりきれいなレーザー穴あけビアも実現します。

ただし、スプレッドガラスには課題もあります。機械的開繊の具体的な方法や品質を定める業界標準がないため、3313のような特定のスプレッドスタイルでも、メーカーによって製造方法が同じとは限りません。図4は2社の積層材メーカーの公称寸法を示しており、開繊の度合いの違いによって繊維幅にばらつきがあることがわかります。

糸束の高さ、幅、ピッチを定義した図と、その下にNanya CCLとIsolaの106ガラスおよび1067ガラスの経糸・緯糸寸法の表。同じスタイルでも糸束の幅が異なることを示す。
図4:IsolaとNanyaの積層材のクロス寸法の比較(出典:Hargin 2019d)。

このばらつきのため、スキュー性能はメーカーごとに大きく異なることがあります。たとえば、あるメーカーの特定のスプレッドスタイルを使った14インチの配線ではスキューが4 psにとどまる一方、別のメーカーの同じガラススタイルでは、同じ距離で62 psにも達することがあります(Knack 2019)。

つまり、製造指示書に「3313スプレッドガラス」と書くだけで高速信号が安全だと考えることはできません。さらに悪いことに、基板製造業者がコスト削減のために製造途中で調達先を切り替えれば、回路図を一切変えていないのに、レイアウトが突然、予期せず不良になることもあります。したがって、一般的なガラススタイルの指定だけではスキュー対策として不十分であり、高速信号のシグナルインテグリティを確保するには、積層材メーカーを明示的に指定するか監査する必要があります。

では、開繊していない密な織布はスプレッドガラスと比べてどうでしょうか。積層材を選ぶ際、エンジニアは、より密な従来型の織布と機械的開繊ガラスの構造面およびコスト面の違いを比較検討する必要があります。より密な織布(2116など)は1インチあたりの糸本数を増やすことで樹脂だまりを減らし、スプレッドガラス(1067や3313など)は糸束を平らに広げることで隙間を大幅に小さくします。表1は、設計に合った方を選べるよう、2つの戦略を比較したものです。

比較項目

密な織布(例:2116)

スプレッドガラス(例:1067、3313)

スキュー低減効果

中

高

データレート

一般に10 Gbpsまで安全

10 Gbps超で推奨

レーザー穴あけとの相性

不良〜可

優

コスト

低い

割高

表1:密な織布とスプレッドガラスの比較。

配線が短く、レーザーマイクロビアを必要としない、コスト重視の標準的な設計(PCIe Gen 3など)では、より密な従来型の織布を標準として選びましょう。設計が超高速のデータレート(PCIe Gen 5/6、DDR5/DDR6、112G SerDesなど)に踏み込む場合や、レーザー穴あけのブラインド・ベリードマイクロビアに依存する高密度実装(HDI)の層構成を使う場合は、すぐにスプレッドガラスに切り替えてください。ガラスの開繊は樹脂リッチな隙間を大幅に減らしますが、完全になくすわけではありません。材料はあくまでガラスフィラメントと樹脂の複合体です。そのため、追加の緩和策やその組み合わせが依然として必要になる場合があります。

低誘電率ガラス

低誘電率ガラス(LガラスやNEガラスとも呼ばれる)は、スキュー問題に対する材料面の解決策として最も効果的なものの一つです。低誘電率のガラス繊維組成は、ガラスフィラメントの誘電率を約6.6から4.4に下げます。ガラス繊維の誘電率を樹脂の値に大きく近づけることで、積層材は非常に均一な電気的環境になります。これにより、配線と織布の位置関係にかかわらず、伝搬速度の不一致が最小限に抑えられます。表2は、標準的なEガラス(従来の高誘電率材料)とNEガラスを比較したものです。

EガラスとNEガラスの比較表。熱膨張係数は5.5対3.4 ppm/°C、1 MHzでの誘電率は6.6対4.4、1 MHzでの誘電正接は0.0012対0.0006。
表2:EガラスとNEガラスの材料特性の比較(出典:Intel 2011)。

低誘電率ガラスは、高速設計において、特にデータレートが25 Gbpsを超えるあたりから明確な利点があります。後述するジグザグ配線や、基板面積を増やす角度ベースの手法といった複雑な配線手法に頼らずに、スキューを大幅に低減できます。トレードオフはコストと入手性です。低誘電率の積層材はかなり割高で、多くの基板製造業者はこうした特殊なガラススタイルを在庫していないため、リードタイムが延びることがあります。重要な点として、低誘電率ガラスはスプレッドガラスと組み合わせて使われることが多く、糸束を開繊しなければ樹脂リッチな隙間が残り、スキュー低減の効果は限られます。

ガラスクロスの2プライ・多プライ構成

ガラス織布を2プライ以上重ねて使うことは、高速回路のファイバーウィーブスキューを抑えるうえで非常に効果的な構造上の手法です。目標とする誘電体の厚さを1枚の厚いガラスクロスで実現する代わりに、設計者は2枚以上の薄い積層材を指定します(例:2116や7628を1枚使う代わりに、106や1067のガラスを2枚使う)。各プライのガラス糸は個別に織られているため、重ねたときに織りパターンが完全には一致しません。その結果、誘電体の環境がより均一になり、スキューが減ります。

互いにずらして描かれた2枚のガラスプライ。1プライの大きな樹脂窓と、プライが重なった部分にできる2プライの小さな樹脂窓をラベルで示す。
図5:2プライ構成は、ガラス織布スキューの原因となる実効的な樹脂窓を小さくする(出典:Hargin 2019c)。

多プライ方式の利点は入手性です。ほとんどの基板製造業者が、特殊な設備や独自の設備を必要とせずに対応できます。ただし、薄いガラススタイルや追加の取り扱いにより、原材料費と製造コストは増えます。また、薄いプライを複数重ねると、最終的な誘電体の厚さにわずかなばらつきが生じることがあります。

ストリップライン配線では、上下の基材に異なるピッチの2種類の織布を使って誘電率のばらつきを平均化できます(図6)。

上側に糸束ピッチP1のガラス層、下側に糸束ピッチがより大きいP2のガラス層があり、その間に2本のストリップライン配線を挟んだ断面の模式図。
図6:上下の基材を使ったストリップラインでの織り効果の平均化(出典:Intel 2011)。

ここまで、積層材がスキュー低減にどう役立つかを見てきました。次は、設計者が配線の段階でできることに目を向けます。

幾何学的な位置合わせ:配線ピッチを織布ピッチに合わせる

ファイバーウィーブスキューの緩和策の一つに、差動ペアの2本の配線のピッチをガラス織布の糸束ピッチに合わせる方法があります。この2つの形状を一致させると、図7に示すように、正側と負側の配線は直線経路に沿ってガラスと樹脂のマトリクスの同じ領域の上に必ず位置するようになります。

差動配線を重ねて描いた2枚のガラス織布の顕微鏡写真。左は両方の配線がガラスピッチの間隔で配置されOKと表示され、右は間隔がガラスピッチと合わないペアがNot OKと表示されている。
図7:ガラス束ピッチにピッチを合わせた差動配線(緑)と合わせていない配線(赤)(出典:Hargin 2019a)。

一方の配線が密なガラス束の中心を通れば、もう一方は隣のガラス束の中心を通ります。同様に、一方が樹脂リッチな領域を横切れば、もう一方も同様の領域を横切るため、伝搬速度が釣り合い、ペア内スキューが打ち消されます。特定の織りスタイルの糸束ピッチを求めるには、IPC-4412規格で規定された打ち込み本数、つまり各方向の1インチあたりの糸束数が必要です。糸束ピッチは、その本数の逆数にすぎません。たとえば1080の織布は、公称で経糸方向に1インチあたり60本、緯糸方向に47本の構成です。したがって経糸方向の糸束ピッチは1/60 = 0.01666インチ、つまり16.66 milになります。よって、経糸軸に沿ってスキューを理論上ゼロにするには、配線間隔を16.66 milの整数倍に設定します。

ピッチを厳密に合わせたまま維持することは、BGAのブレイクアウト領域のような混み合った場所ではできません。しかし、ファイバーウィーブスキューは距離に比例して蓄積するため、こうした短いブレイクアウトのボトルネックが全体の位相誤差に与える影響はわずかです。そのため、密なピン領域はコンパクトな形状で配線し、経路が基板の開けた領域に出たところでペアの間隔をガラス束ピッチの倍数まで広げることができます。この戦略により、表皮効果や導体損失を抑える太い配線を使いつつ、伝送線路の長くリスクの高い区間でスキューを効果的に打ち消せます。

配線ピッチ整合には、実務上の限界と注意点がいくつかあります。第一に、通常の製造公差のため、配線がガラス束に沿った位置を保つことを保証するのは困難です。たとえば、銅パターンと積層材の位置合わせにわずかな回転ずれがあるだけで、長さ15インチの配線は下にある糸束パターンとの空間的な整合を失うことがあります。第二に、配線ピッチは差動インピーダンスに影響するため、ピッチ整合では、所定の誘電体厚でインピーダンス目標とスキュー目標の両方を満たす配線幅を選ぶ必要があります。さらに、一般的な織布の多くは非正方形です。たとえば1080のガラススタイルは経糸と緯糸の本数が非対称(1インチあたり60 × 47本)なので、信号が90度コーナーで曲がるたびに必要な配線間隔がまったく変わってしまいます。そのため、両方向で一定の間隔を保てる正方形の織布が好まれます。非正方形の織布では、設計チームが基板製造業者と連携し、製造工程全体を通じて基板の経糸方向と緯糸方向を追跡する必要があります。こうした制約や製造上の依存関係がレイアウトにとって厳しすぎる場合は、代わりに基板レベルの別の配線手法を使うことができます。

斜め配線

斜め配線は、高速配線をガラス織布の経糸方向や緯糸方向と平行にではなく、意図的にゼロでない角度(通常は7〜10°)をつけて引く緩和策です。

ガラス織布の顕微鏡写真に描いたPとNの差動ペア。左は縦のガラス束と平行、右はガラス束に対して10度の角度。
図8:ガラス束と平行に引いた差動配線(左)と10°の角度で引いた差動配線(右)(出典:Nalla 2016)。

配線に角度をつけると、配線はその長さに沿って複数のガラス束と樹脂リッチな領域を横切るため、織りによって生じる局所的な誘電率のばらつきが平均化されます。これにより、差動ペアの両方の配線が、より均一な実効誘電率を受けるようになります。

斜め配線の大きな利点は、1080や2116のような標準的なガラススタイルでもスキューを低減でき、割高なスプレッドガラスの積層材を使わずに済むことです。ただし、この手法は基板面積を増やし、配線計画を複雑にします。部品配置は、配線がガラス織布に対して特定の角度で走るように計画しなければなりません。また、BGAのブレイクアウトのような密集した領域では、配線を軸からずらして引くだけの余裕がそもそもないこともあります。

斜め配線は差動スキューを大きく低減する一方で、シグナルインテグリティ上の別の不利益をもたらします。ガラス織布の周期性による挿入損失のディップが悪化するのです。2010年のDesignConの論文では、45°の配線が最も低い周波数で単一セルの周期性共振を生じうることが示されています(Miller、Blando、Novak 2010)。このように、斜め配線にはタイミングスキューに関して独自のトレードオフがあります。

ジグザグ配線

ジグザグ配線は斜め配線の一種で、配線が公称経路を中心に周期的に振れるものです。単純な斜め配線と同様に各セグメントはガラス織布に対してゼロでない角度で走りますが、一定の傾きを保つのではなく、角度の向きが交互に変わる点が異なります。図9にジグザグ配線の模式図を示します。

ジグザグに配線した差動ペアの図。セグメント長L、横方向のオフセットW、およびWをLで割った値の逆正接に等しい配線角度θを示す。
図9:ジグザグ配線(出典:Intel 2011)。

向きを反転させる前に、配線がガラスピッチの少なくとも3倍を横切る(W ≥ 3 × ガラスピッチ)ように引くことが推奨されます。

ジグザグ配線は、基板面積と引き換えにスキューを低減します。単純な斜め配線と比べると、通信するIC同士を標準的な水平軸または垂直軸に沿って配置したままにできるため、部品配置を簡素化できます。一方、斜め配線では対角の配線経路に合わせて部品配置をわずかにずらす必要があります。反面、ジグザグ配線には、斜め配線にはない物理的・電気的な不利益があります。折り返し点があるため、ジグザグの経路では局所的なインピーダンス不連続が生じることがありますが、単純な斜め配線ではコーナーも反射もない均一な経路が保たれます。さらに、ジグザグ方式は全体の物理長が長くなるため、チャネルに沿った伝送損失が増えます。

その他の緩和策

このほかに2つの緩和策がありますが、簡潔さを優先して本稿では扱いません。1つ目は銅パターン全体を積層材に対して回転させる方法で、斜め配線と同様の効果が得られます。2つ目はジョグ配線とも呼ばれる方法で、各導体をペア内の間隔分だけずらし、2本の配線がもともと位置していたガラスリッチな領域と樹脂リッチな領域を入れ替えます。この環境条件の入れ替えにより、両者の遅延がそろいやすくなります(図10)。

ガラスとエポキシ樹脂が交互に並ぶ帯の上を通るPとNの差動ペアを上から見た図。両方の配線が途中でペア間隔の分だけ横にずれ、ガラスリッチな領域と樹脂リッチな領域を入れ替える。
図10:ジョグ配線(出典:Intel 2011)。

まとめ

本稿では、ファイバーウィーブ効果を緩和するための材料面の選択と配線面の戦略の両方を見てきました。単純で万能な解決策があれば理想的ですが、ほとんどの手法は部分的な解決策にすぎず、その効果は周波数、線路長、許容できるスキューの予算に左右されます。実務では設計者が複数の方法を組み合わせることが多く、112G PAM4やPCIe Gen6のように56 Gb/sを超えるデータレートでは、NEガラスとスプレッドガラスの組み合わせが不可欠となり、厳しいスキュー制限を満たすには斜め配線の戦略も必要になる場合があります。

関連記事

第1回:ファイバーウィーブ効果を理解する:ガラス織布から差動スキューまで

第2回:ファイバーウィーブスキューのモデリング:解析的な範囲と統計的なスキュー予測

第3回:ファイバーウィーブスキューの緩和策:スプレッドガラス、NEガラス、配線手法(本稿)

よくある質問

ファイバーウィーブスキューはどのように低減できますか。

ファイバーウィーブスキューは、積層材、配線、またはその両方によって低減できます。材料面の選択肢には、より密なガラス織布スタイル、機械的に開繊したスプレッドガラス、NEガラスなどの低誘電率ガラス、そしてガラスクロスを2プライ以上重ねる構成があります。配線面の選択肢には、差動ペアのピッチをガラス束のピッチに合わせること、斜め配線、ジグザグ配線、銅パターン全体を積層材に対して回転させること、そしてジョグ配線があります。ほとんどの手法は部分的な解決策にすぎず、その効果は周波数、線路長、許容できるスキューの予算に左右されるため、設計者は複数を組み合わせることがよくあります。56 Gb/sを超えると、NEガラスとスプレッドガラスの組み合わせが不可欠となり、厳しいスキュー制限を満たすには斜め配線も必要になる場合があります。

スプレッドガラスとは何ですか。

スプレッドガラスとは、積層材メーカーが樹脂含浸の前に、高圧ウォータージェット、超音波、または機械ローラーを使って糸束を平らに広げたガラス織布です。平らにすることで糸束間の樹脂リッチな隙間が小さくなり、ペア内スキューが減るうえ、レーザー穴あけビアもきれいになります。ただし、材料はあくまでガラスフィラメントと樹脂の複合体なので、開繊しても隙間が完全になくなるわけではなく、ほかの緩和策が必要になる場合があります。

スプレッドガラスのスタイルを指定するだけでは、なぜスキューを制御できないのですか。

機械的開繊の具体的な方法や品質を定める業界標準がないため、3313のようなスプレッドスタイルでも、積層材メーカーによって製造方法が同じとは限りません。14インチの配線で、あるメーカーのスプレッドスタイルではスキューが4 psでも、別のメーカーの同じスタイルでは62 psにも達することがあります。基板製造業者が製造途中で積層材の調達先を切り替えれば、問題のなかったレイアウトが回路図を変えないまま不良になることもあります。高速設計では、ガラススタイルに加えて積層材メーカーも指定または監査する必要があります。

密な織布とスプレッドガラスのどちらを使うべきですか。

2116のような密な従来型の織布は、1インチあたりの糸本数を増やすことで樹脂だまりを減らします。スキュー低減効果は中程度で、一般に10 Gbpsまでは安全であり、コストも低めですが、レーザー穴あけとの相性は不良〜可です。配線が短く、レーザーマイクロビアを必要としないPCIe Gen 3のような、コスト重視の標準的な設計に向いています。1067や3313のようなスプレッドガラスは、割高ではあるものの、スキュー低減効果が高く、レーザー穴あけとの相性にも優れています。10 Gbpsを超える場合や、PCIe Gen 5/6、DDR5/DDR6、112G SerDesのような設計、そしてレーザー穴あけのブラインド・ベリードマイクロビアに依存するHDIの層構成に適しています。

NEガラスとは何で、どのようにスキューを低減しますか。

低誘電率ガラスは、LガラスやNEガラスとも呼ばれ、ガラスフィラメントの誘電率を約6.6から4.4に下げます。ガラスの誘電率を樹脂の誘電率に近づけることで積層材は電気的により均一になり、配線と織布の位置関係にかかわらず伝搬速度の不一致が減ります。その利点が最もはっきり表れるのは、データレートが25 Gbpsを超えてからです。トレードオフは大幅な価格上昇と限られた入手性で、多くの基板製造業者はこうしたガラススタイルを在庫していません。開繊していない糸束では樹脂リッチな隙間が残るため、低誘電率ガラスはスプレッドガラスと組み合わせて使われることがよくあります。

差動ペアのピッチをガラス織布のピッチに合わせるにはどうすればよいですか。

ペアの2本の配線の間隔をガラス束ピッチの整数倍に設定し、直線経路に沿って両方の配線がガラスと樹脂の同等な領域の上に来るようにします。糸束ピッチは、IPC-4412に記載された打ち込み本数の逆数です。経糸方向に1インチあたり60本の1080ガラスでは、経糸方向の糸束ピッチは1/60インチ、つまり16.66 milです。ピッチを合わせる余地のないBGAのブレイクアウト領域では、コンパクトな形状で配線し、ペアが基板の開けた領域に出たところで間隔を広げます。ブレイクアウトの短い区間が全体の位相誤差に与える影響はわずかです。ピッチ整合は銅パターンと積層材の回転方向の位置ずれに弱く、ピッチは差動インピーダンスにも影響するため配線幅が制約されます。また、1080(1インチあたり60 × 47本)のような非正方形の織布では、配線が90度曲がるたびに必要な間隔が変わります。

斜め配線ではどの角度を使うべきですか。

斜め配線では通常、高速配線をガラス織布の経糸方向または緯糸方向に対して7〜10度の角度で引きます。この角度では各配線が複数のガラス束と樹脂リッチな領域を横切るため、局所的な誘電率のばらつきが平均化され、ペアの両方の配線がより均一な実効誘電率を受けます。割高なスプレッドガラスを使わずに1080や2116のような標準的なガラススタイルで機能しますが、基板面積が増え、配線角度に合わせた部品配置が必要になり、BGAのブレイクアウトのような密集した領域には収まらない場合があります。斜め配線はガラス織布の周期性による挿入損失のディップを生じることもあります。2010年のDesignConの論文では、45度の配線が最も低い周波数で単一セルの周期性共振を生じうることが示されています。

ジグザグ配線は斜め配線と比べてどうですか。

ジグザグ配線では、一定の傾きを保つのではなく、公称経路を中心に配線セグメントの角度を交互に変えます。向きを反転させる前に、配線はガラスピッチの少なくとも3倍を横切るようにします。斜め配線に対する利点は部品配置で、通信するIC同士を標準的な水平軸または垂直軸に沿って配置したままにできます。代償は、折り返し点での局所的なインピーダンス不連続と、伝送損失を増やす物理長の増加です。単純な斜め配線は、コーナーのない均一な経路を保ちます。

参考文献

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Hargin, Bill. 2019c.「How to Avoid Getting Totally Skewed, Part Four.」Printed Circuit Design & Fab, 2019年9月20日. https://www.pcdandf.com/pcdesign/index.php/current-issue/266-material-matters/13964-how-to-avoid-getting-totally-skewed-part-four.

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査読者について

Bill Hargin

Bill Hargin

、

Z-zero創業者

Bill Harginは、PCBの層構成設計と材料選定のためのソフトウェアZ-planner Enterpriseを開発する、アリゾナ州スコッツデールのZ-zeroの創業者です。PCBのシグナルインテグリティと製造の分野で25年以上の経験があり、Mentor GraphicsのHyperLynxソフトウェアやNan Ya PlasticsのPCB積層材部門で、ディレクタークラスのマーケティング職を歴任しました。著書にStackups: The Design within the Designがあり、Eric Bogatinとともにガラス織布スキューに関するDesignConの研究を共同で発表しています。

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