Hardware Rich Development

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仕事そのものが喜び:Nancy Smithが語る、基板を1枚ずつ美しく仕上げるハードウェアづくり

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July 15, 2025

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この記事は、Quilterの物理法則に基づくレイアウト自動化を使い、NXP i.MX 8M Mini搭載コンピューターを再現した過程を詳しく紹介するシリーズの一部です。 

「仕事が大好きなので、朝起きるのが待ち遠しいんです。」

1980年代初頭からエレクトロニクス業界に身を置く人から、日常的に聞ける言葉ではありません。しかし、シニアPCB設計者のNancy Smithにとって、喜びと好奇心は、数十年にわたるキャリアの原動力であり続けてきました。

エンジニアリングに携わる私たちの多くは、反復サイクルの高速化、設計の堅牢性の向上、製造との連携強化といった進歩を追い求めています。しかし、指標や節目の奥には、もっと静かなものがあります。それはものづくりの技です。

Nancy Smithの物語は、その技についての物語です。彼女の語り口には、忍耐、明快さ、そして絶えない喜びがあります。技術の世界では、もっと耳を傾けたい類いの声です。彼女はハードウェアのどの時代にも好奇心を失わず、現場で手を動かし続けてきたベテランの基板設計者です。

この業界でどうにか生き残っているだけではありません。いきいきと活躍しています。それを支えているのは、よい設計の哲学を大切にする姿勢です。

彼女の物語は地に足がつき、実践に根差し、静かな深みがあります。そもそもなぜ私たちがエンジニアリングの道に入ったのかを思い出させてくれる視点です。

適応というエクストリームスポーツ

ここからNancyの物語は面白くなります。率直に言って、少し胸を打たれる話でもあります。あるとき産休から戻ると、ワークフローがすべてデジタル化されていました。ライトテーブルも、テープも、ドーナツ状のパッドシールもなく、あるのはコンピューターだけでした。そして彼女には、コンピューターがそもそも何なのかさえ分かりませんでした。

大切なのは、この転機での対応です。その瞬間が、キャリアを終わらせる壁になってもおかしくありませんでした。しかし、そうはなりませんでした。Nancyは、逆境に強いエンジニアがすることをしたからです。学び、適応し、さらに腕を磨きました。不満を言うことも、昔のやり方を懐かしむこともありません。道具が変われば自分も変わればいい。そこには、そんな静かな自信があっただけです。

これは単なる心温まる個人的なエピソードではありません。生き残るための力です。好むと好まざるとにかかわらず、この業界は5年ごとに姿を変えます。今はAIによるPCB最適化支援やリジッドフレックスの統合が話題ですが、明日はまったく別のものになるでしょう。問われているのは、状況が変わるかどうかではありません。変わったときにも、仕事を楽しめるかどうかです。

Nancyの答えは「はい」でした。だからこそ、今もこの業界でいきいきと活躍しているのです。

Batteries for a vintage DC power supply
ずっと昔のDC電源用バッテリーです。

喜びという隠れた制約条件

Nancyの話を聞いていて、強く心に残ったことがあります。彼女の隠れた強みは、適応力だけではありません。喜びなのです。

呆れる前に聞いてください。研究室に貼る啓発ポスターを印刷しようという話ではありません。この分野で長く働き続けたいなら、その過程を好きになる必要があるという、きわめて現実的で実践的な話です。率直に言って、PCB設計は難しい仕事です。どの基板にも、至る所にトレードオフが潜んでいます。インピーダンス、EMI、放熱、形状、コストの制約、調達の遅れ、テストのボトルネック。そのどれか1つでも、1週間の予定を狂わせかねません。「とにかく終わらせる」ことだけを原動力にしているなら、燃え尽きは可能性ではなく、避けられない結末です。

地道な苦労を続けられるものにしてくれるのが、喜びです。試作の失敗を自分の能力不足の証拠と見るか、解く価値のあるパズルと見るか。その違いを生みます。インピーダンス制御を求める2層基板の仕様を顧客から渡され、実現不可能だと分かっていても笑えるのは、その喜びがあるからです。道具が進化しても学び続けるしなやかな強さを、喜びが与えてくれます。次に何が来るのかを、本当に知りたいと思えるからです。

Nancyには、その喜びがあります。配線が美しく仕上がった基板の端正さや、ナプキンに描いたスケッチを実物に変える高揚感を語るとき、彼女の表情は輝きます。その輝きこそ、私が出会ってきた優れたエンジニア全員に共通するものです。自負でも、肩書きでも、生まれ持った才能でさえもありません。喜びです。

そこで、自分に問いかけてみてください。最後に自分の仕事を誇らしく思ったのは、いつでしょうか。出荷できたからではなく、美しかったからです。思い出せないなら、その感覚をもう一度見つけるときなのかもしれません。上司のためでも、顧客のためでもなく、自分自身のためにです。

現実には、ハードウェアはこれからも難しくなっていきます。それを少しでも楽にしてくれるのは、その過程を再び好きになる理由を見つけることだけなのです。

全工程を見通す思考が欠かせない理由

Nancyは、ただ「レイアウトをする」だけの人ではありません。基板のはんだ付け、部品調達、試作機のデバッグを経験し、3Dプリンターをあれこれ触ってみたこともあります。つまり、アイデアから製品になるまでの間にボトルネックがあれば、彼女はそれを目にしていて、おそらく笑顔で解決したことさえあるのです。

大切なのは、その視野です。優れた基板設計者は、自分の仕事だけに閉じこもりません。組み立てを考え、テストを考えます。そして、マーケティング部門が「洗練された形状」を気に入ったばかりに、0.0003 mmの隙間しかない筐体へこの基板を収めなければならない、気の毒な担当者のことも考えます。

自分の設計を最後まで成立させたいなら、Nancyのように考え始めてみてください。

Semiconductor wafers and electronic components
どこのものか、分かりますか?

設計するのが最も難しいもの

私たちは仕様、日程、マージンにとことんこだわります。エンジニアリングがそれを求めるからです。しかし、設計するのが最も難しいのは基板ではなく、自分自身の好奇心です。リリース日程に追われ、Rev 4の混乱に巻き込まれるうちに、好奇心は簡単に失われてしまいます。そのすべての根底にあるのは、私たちがものをつくる人間だという事実ですが、それさえ忘れがちです。私たちはアイデアを、昨日まで存在しなかった物へと変えています。それは魔法のように感じられていいはずです。

Nancyは、それを思い出させてくれました。この業界で長く活躍する秘訣は、新しい道具をすべて知ることでも、寝物語のようにIPC規格を暗記することでもないと、彼女は身をもって示しています。大切なのは、仕事で予想外の難題に直面しても、喜びを失わないことです。むしろ、そんなときこそ大切なのかもしれません。

そこで、1つ提案があります。次に、どうにも無理だと感じるレイアウトを前にしたときは、ただ歯を食いしばって進めようとしないでください。ひと呼吸置きましょう。その中に、興味を引かれるところ、好奇心が再び湧くところを探してみてください。基板はあなたの忍耐を試します。その過程では、自分の力の限界を思い知らされます。それでも、少しでも喜びを手放さずにいられれば、そこから仕事は面白くなるのです。

それでも何もかもうまくいかないときは、こう思い出してください。かつて誰かがライトテーブルにドーナツ状のパッドシールを貼り、それを進歩と呼んでいたのです。あなたなら、きっとできます。

Nancy Smithから学ぶこと

  • 常に学び続けましょう。ゼロからやり直すことになってもです。
  • 製品だけでなく、その過程にも喜びを見つけましょう。
  • 設計はCADだけではありません。コミュニケーション、テスト、調達、製作も含まれます。
  • 楽しさを忘れないようにしましょう。優れたエンジニアは、いつまでも好奇心を失いません。
  • 好きなことなら、仕事という感覚がなくなります。

仕事の中に喜びを感じる余地をつくったら、何が変わるでしょうか

修正の繰り返しから抜け出せない、日程にいらだっている、不透明なプロセスに疲れ果てている。そんなときは、少し立ち止まってみる時期なのかもしれません。

優れたエンジニアリングは、単に問題を解くことではないとNancyは教えてくれます。少しの好奇心と、十分な謙虚さを持ち、きちんと仕上げようと心を配ることなのです。

そこで、自分に問いかけてみてください。

最後に、自分が設計したものを誇らしく思ったのは、いつでしょうか。ただ動いたからではなく、よくできていたからです。

これを読んで「くそ、5年前に誰かに教えてほしかった」と思ったなら、その気持ちはよく分かります。私も同じです。だからこそ、こうした対話を続けているのです。

実際にものをつくる人たちへのインタビューは、Hardware Rich Developmentシリーズのほかの記事でもご覧いただけます。強い持論がある方、もっと面白い話をお持ちの方、あるいは怪しげな基板を公開レビューしてほしい方は、ご連絡ください。最後のは冗談です……ご希望なら別ですが。

私たちはこの業界を、配線1本ずつ、よりよくしていきます。

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Quilterを実際に試す

Project Speedrunは、自律的なレイアウトの実際の姿と、Quilterが実現する時間短縮を示しました。次は、ご自身のハードウェアでお確かめください。

利用を始める

設計の検証

仕上げが完了したら、最後に確認するのはハードウェアが動作するかどうかです。電源投入時には電気的な不具合の多くが現れます。エンジニアにとって、緊張と期待が入り交じる瞬間です。

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設計の仕上げ

自律的なレイアウトにより、DRCを実施済みの完成した設計が得られます。仕上げは、製造に向けて最終調整するための短い精密な作業です。

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設計のコンパイル

設計の準備ができたら、次はQuilterに引き渡します。従来のワークフローでは、この段階でエンジニアとレイアウト担当者が設計意図を確認します。Quilterはこの打ち合わせを回路理解のプロセスに置き換えます。プロジェクトをアップロードし、制約条件がどう解釈されたかを確認して、ジョブを実行します。

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